モロッコ旅の達人 岩間ひかるです。
「モロッコ行くんですが、治安が心配です」
そういう不安な疑問をいただくことが多いです。
昨今のISILに関連したテロを巡ってのことと思いますが、
私にしてみれば、ごく少数の過激思想の人が引き起こすテロよりも
むしろ気をつけるべきは
主に都市部でのスリや引ったくりです。
私はこの3年の間に
- 一度の引ったくりに遭い
- 一度のスリ未遂に遭い
- 4人のスリ被害者を目の当たりにしています。
それぞれの事例をご紹介しましょう。
白昼堂々2人組のバイクの男がバッグごと引ったくり
日曜日の昼間、マラケシュの旧市街の中でのことです。
車も通れるような広めの道を歩いていると、
肩からかけたショルダーバッグに衝撃が。
気付くと目の前に、バイクの後方に乗った男が
私のバッグを持って走り去ろうとしています。
何が起こったか理解して追いかけるも、
相手はバイク…
追いつくはずもありません。
被害物:ミニiPad、財布、現金、クレジットカード、現地用の携帯電話。
声をかけて注意を引く隙にポケットからスマホを盗もうとした男
これはつい数日前の出来事。
ベンユーセフ神学校から、あまり人通りのない道を通っていた時のこと。
「スクエア(フナ広場のこと)はこっちだよ!」
と、全く別な方向を指して話しかけてくる男が居ました。
私はその時もう一人の友達と一緒に、歩いていました。
夏のまだ日が高い午後の出来事です。
自分たちはそのフナ広場の方から来たにもかかわらず
まったく違う方角を指しているし、あまりにしつこく話しかけるので
つい足を止めて彼の方を向いたんです。
すると彼は近くまで寄って来てもう一度言います。
「スクエアはこっちだよ」と。
その瞬間、私はポケットのスマートフォンが動くのを察知しました。
彼の左手が、私のスマホにかかっていたのです。
すかさず「何してんの!!」と怒鳴りました。
当の本人は誤るでもなく、ちぇ、みたいな態度で引き返します。
よく見るとその先には彼の仲間と思しき4人の少年達が待っていました。
もしも、本当に道を知らない旅行者が
「スクエアはこっちだよ」という彼の言うとおり
袋小路のその道に入っていってたらどうなったか?
たぶん、スマホを盗られたどころでは済まなかったでしょう。
人気のない路地と夜のフナ広場はスリの格好の場
夜のフナ広場で、危険だと聞いていたので2人組で腕を組んで歩いていた。
ジャケットの、2人の間側のポケットからスマホを掏られた。
スマホを見ながらリヤドへ自力で行こうと路地を歩いていた。
話しかけてくる男を無視していたら、怒ったその男がスマホを強奪して逃走。
夜のフナ広場で自分のリュックのファスナーを開けている少年の腕を握った。
幸い貴重品はリュックには入れていなかったので被害は無かった。
ごった返した道で宿に連れて行ってくれるガイドについて歩いている間に
荷物のなかから一眼レフのカメラだけ盗まれた。
私が知り得るだけでこの被害数。
ハイシーズンの混雑時のフナ広場では、
一日で20件ものスマホ窃盗被害があるのだそうです。
油断大敵!スリの被害に遭わないために
多くのスリの原因は何かというと、
被害者側の油断
スリしてる輩の生い立ちとか人間性とか、
そんなこと考えても何の対策にもなりませんから。
- 昼間だから大丈夫だと思った
- 人通りの多い道だから大丈夫だと思った
- 複数人で歩いてるから大丈夫だと思った
- 道に面したポケットじゃないから大丈夫だと思った
- 歩きスマホをしても問題ないと思った
これってすべてちょっとした油断か情報収集不足。
- カバンは必ず身体の前に持つ
- 強く引けば壊れるような華奢なバッグは持たない
- 人通りの多い道を選ぶ
- バイクが通れる道は背後にも気をつける
- 誰かと一緒に歩いている時こそ気を抜かない
- 貴重品やバッグは道路側に向けずに壁側に
- 道端でスマホをどうして見る場合は、歩きながらでなくて立ち止まって確認する
- 深夜、早朝の一人歩きはしない
これらのことは、少しの配慮でできることです。
私はHikali Safariのツアーのお客様やDar Miraiにご宿泊のお客様には
必ず街歩きの際にはスリに気をつけるように助言します。
偶然かどうか分かりませんが、いずれの場合も
アジア人一人か、アジア人同士で散策中に発生しています。
最近増えて来ているとはいえ、アジア人は顔立ちや体格が違うので
遠くからでも目立ちます。
おまけに、もしかしたら
”アジア人はいいスマートフォン持ってる”
そんな認識をされているのかもしれません。
スリのお目当てはスマートフォンが多いです。
それを悪用するとかではなくて、単に転売して高値で売れるから。
だから高機能なスマホをお持ちの日本の方は、
スマートフォンは超貴重品だということを肝に銘じて扱ってください。
もしもスリや強盗にあってしまったら
せっかくこの記事を読んだのに、スリの被害に合ってしまったら?
その後はこのような対処が必要です。
- 被害に合った場所から最寄りの警察署へ行き、被害を報告する。(被害場所によって管轄が違います)
- 警察証明書を発行してもらう。被害を報告した場所から移動する場合があります。
- クレジットカードが盗まれた場合は、クレジットカード会社に報告してカード利用を止める。
- スマートフォンを盗まれた場合は、通信会社に連絡して使用を止める。
- 在モロッコ日本大使館に報告する。
特に1は速やかに。
場合によっては、逃走中の犯人がすぐに見つかることがあります。
フナ広場内でスリに合った場合は、フナ広場内に警察署があります。
5については必須ではありませんし、特に何かしてくれるわけではありません。
しかし、今後訪れる日本人の勉強材料としてそのデータが蓄積されます。
悲しいモロッコ旅にならないために
私もかつてひったくりに遭った経験から、
何よりも悔やまれたのは、ミニiPadそのものではなくて
ミニiPadに入った写真データや動画データを無くしたことでした。
手続きは面倒ですが、モノやお金ならどうにかなります。
しかし写真や動画などの記録は戻ってきません。
特に旅も後半だったりしようものなら
膨大な写真データがバックアップされないまま蓄積されていたりします。
それを一瞬で失ったとしたら…
悔やんでも悔やみきれませんね。
- まずはスリに合わないように対策をしておく。
- できればデータはバックアップをとっておく。
- 海外旅行保険は入っておく。
モロッコ旅を楽しく過ごし、終えるためにも
備えは万全にどうぞ!